今回の会場は、千種町鷹ノ巣にあるたかのす東小学校。3月というのに、当日朝は雪がちらついていました。さむ~。

会場では鷹ノ巣特産の温かいカワラケツメイ茶を用意してくださっていました。
前半は、田中啓介さん(一宮町安積在住)から、設立背景と概要のお話と、協力隊のみなさんそれぞれから活動への想いをお聞きし、その後、円座になってディスカッションをしました。
(1)宍粟暮らし移住支援舎”shisokura”とは?

兵庫県・西播磨エリアでも、ほとんどの自治体で人口減少が進むとされていますが、その中でも宍粟市の人口は、2020年からの10年の間に6,119名が減少すると予測されているそうです(厚労省 人口動態調査に基づく)。
現在(令和4年2月)の波賀町と千種町の人口が5,937名なので、それに匹敵するほどの人口が減ることになります!事態は思っている以上に深刻だと感じました。
また移住対策のキーポイントとなるのが空き家です。宍粟市の空き家バンク成約率は全国第2位を誇りますが、その契約者の大半はセカンドライフ世代であり、将来の人口減対策として強みになっているとは言い切れないところがあります。
今回設立されてようとしている「宍粟暮らし移住支援舎 “shisokura(シソクラ)”」では、将来の地域を担う世代(生産年齢人口)を主なターゲットとして、行政単独ではできない移住サポートとは何か?を考え、移住者と地元との “つなぎ役” になるような取組みを進めていきたいと考えているそうです。
- shisokuraの具体的な事業案 - (1)移住定住の【情報収集】や【発信】 (2)移住者同士の交流イベント、移住フェアなどへの参加や企画 (3)空き家対策の促進(空き家管理など)
(2)shisokuraだからこその、移住サポートとは?
現在の地域おこし協力隊は、山﨑町・千種町・波賀町・一宮町各地に住んで活動を展開しており、その活動ジャンルもさまざまです。だからこそ持てる地域とのつながりの広さを共有し、農業、観光、食、アウトドア、地域づくり、二拠点活動など、さまざまな活動スタイルを持ったそれぞれのメンバーの強みを活かすことで、移住者のさまざまな希望に応えようとされています。
会では仲間(=会員)を増やしながら、こうした多様性のある取り組みを広げていこうとされています。現役の地域おこし協力隊が発足するshisokuraならではのユニークな組織づくり、団体の強みですね!


メンバーそれぞれに活動地域が異なることも、shisokuraの強みに。
(3)印象に残ったこと
ディスカッションの中で、印象に残った点をまとめます。
■移住者と地元とのクッションになる人材が大事!
・移住者が増えている地域でも、地元の人々が置いてけぼりになっていることがある。 ・地元出身者やつながりを持っている人がいるorいないで、地元との信頼関係は変わる ・空き家が見つかっても、契約や家主さんとの関係づくりは移住者に任される。
移住者と地域をつなぐ話の中で、こんなエピソードがあがりました。地元と移住者がいかに良い関係を築けるかが、移住する上で重要なことがわかります。
そのためには、移住者と地元との間に入ってクッションになる人材(=つなぎ役)の存在が重要だと思う人が多くあったように思えます。さらにはそうした役割を地元生まれの世代が担い、横のつながりを広げていってほしいという声もありました。

■どんな視点を持った移住者か?
人口がどれだけ増えたら良いかを考えるだけではなく、いろいろな考えや視点を持った人が地域に入ることが大事だとする意見もありました。人口の数が増えれば〜♪とだけ考えてしまうところですが、それだけではないことに気づきました。
■田舎ならではコトをどう知ってもらえるか
入村費や自治会費など、田舎ならではの経費や、地域組織とその役まわりについても、住んでみてわかることが多く、その意義についても意見が交わされました。
これらは地域によって変動していく情報なので、一概にこうです〜!と情報提供するのは難しいです。ただ移住する前に、どうやってこうした情報に接触してもらえるかが支援策として重要になってきそうです。

■空き家管理を通してできること。
メンバーYさんからは、空き家の管理についてお話がありました。空き家を単に建物として維持するだけでなく、空き家への定期的な出入りをすることで、地域の事情を知る機会になったり、信頼関係を深めることになる。それが移住者への仲介やその後のサポートにもつながる。というお話でした。空き家が自然なコミュニケーションを促す場になる点を話されていて、とても興味深かったです。
また参加者のFさんは「空き家になる前にできること」という視点からお話をしてくださいました。この方は以前、地域外に住む地元出身者に向けて「ふるさと便り」を6年間に渡り毎回300通近くを発送されていたそうです。そこには地域のお祭りや行事などが綴られていたそうです。これは出身者が地元に関心を持ち続けてもらうことで、いつか再び戻ってきてくれるきっかけになるのではないかという想いからでした。
またFさんは、今後の地域の取り組みとして、空き家になる前に、住民の相談や新たな居住者を募集するような活動を進めていきたいとも話されていました。
終わりに
今回のグリーンドリンクスでは、住んでいるからこそ、移住してきたからこそ感じるお話や考えを、たくさん交わすことができました。移住誘致の情報があふれる昨今、宍粟らしい移住促進活動が生まれそうです。
shisokuraさんでは、この4月から会員を募集されています。気になった方は、ぜひコンタクトを。
INFORMATION
宍粟暮らし移住支援舎 shisokura
代表:田中啓介さん
兵庫県宍粟市一宮町安積1034-1
Mail= info@honey888.jp
◆会則と入会申込書(R3年2月15日現在)
おまけ

終了後は、協力隊の林さん・廣重さんによる、鷹ノ巣米でいただく「手作りカレー」と千種町名物「ちくさまんじゅう」を用意してくださいました。お腹もほっこり~^_^ ごちそうさまでした
文・小鹿由加里
Data
日時 | 2022年3月22日(火)10:0-12:00 |
場所 | たかのす東小学校 音楽室 |
ゲスト | 宍粟暮らし移住支援舎 Shisokura (宍粟市地域おこし協力隊) 代表 / 田中啓介さん 副代表 / 林 拓真さん 廣重希さん、山口洋介さん、松下幸広さん、都留万里代さん |
ホスト | 小鹿由加里 |
本日のお茶 | カワラケツメイ茶 |
参加者 | 10名 |
人と森、みんなが一緒にぷくぷく発酵し合う「繋がりを活かす町・宍粟(しそう)」を目指す情報発信プラットフォーム。2019年11月から活動スタート。