絶対できないと思っていた憧れの訪問看護の世界に飛び込んで7年目。
大きな壁と思っていた『在宅』は、思ったよりも包容力があって優しくて厳しい世界で。
何をするにしても、人が全てだと感じる。
初めてお会いするとき、意識していること。
必要としていること、今までの人生や想いを、とことん聴く。
体にふれる時、タッチする手が面であたるように。
できるだけ親指と人差し指以外の掌で包み込むように。
必要なのは、その方が実現したいこと、希望を、全力でサポートすること。
冷静な頭でアドバイスも、必要に合わせて少しずつ。
先回りした、こちらが安心するためのアドバイスになっていないか、
吟味を重ねる。思いを反復して聴く。
関わった方が、私のことを『分かってくれる人』と認めてくださると、
より強力なバックアップができる。
なぜなら、すぐに相談してくださるから。
すぐに話を聞いたり、関係するところに繋いだり、対応できることもあるから。

自分がもし、物忘れをしだした時、
こんな風にきいてもらいたいな、
こんな風に提案してほしいなと想像しながら。
それまでの経験や子育て、家族の中の役割、
それぞれの物語に、『すごいなぁ』といつも思う。
辛かったことも楽しかったことも。
それがあるから、今こうして過ごされてるのですね。
私が経験したこともないような話はとても楽しく、
表情はイキイキとされていて、純粋にかっこいいと思う。
そんな毎日。
宍粟中を車を運転していると、季節ごとに変わる風景と色。
風とにおい。
清流のせせらぎ。
五感を刺激する毎日です。
今日の訪問。
ケアの後、涙を流して『涙が出るわ、ようしてくれて。ほんまにありがとう。』
堂々とした風格のある老紳士。
奥さんは、お見送りはいいですよと言っても
玄関先で手をずっと振ってくれている。満面の笑顔で。
ありがたいなぁ、そう思いながら毎日車を走らせている。

コスモス・訪問看護ステーション管理者。最期までその人らしく生きられる心と体のケアを行なっています。占星術見習い。2021年からウクレレをはじめる。