私のように凡センスな人間からしたら
自らのセンスを武器として生業とする人が
うらやましくて仕方がない。
ここに一歩立ち入った私が
異空間にきてしまったと心躍ると同時に
嫉妬めいたブラックな気持ちが湧きおこったのはそういうわけだ。
漢方茶専門店「サササ」を営む山口夫妻。
とにかくセンスがいい。
宍粟市の北の奥。山間の地。
繁盛幼稚園跡地を利用して「サササ」を営業している。
自分たちの手で園内を改装し続け、
今秋晴れて、喫茶スペースが完成した。
光栄なことにプレオープンに招いていただいた。
売り物である漢方茶が整然と陳列され、
乾燥中の茶葉もデイスプレイの一部となっている。
これら空間づくりの全てを
自分たちが手掛けたというから驚いた。
整然と美しく並ぶ茶葉の瓶に交じって、
私に二度見させた存在がカトラリー。
宍粟市在住のアーテイスト「 田疇(でんちゅう)」さんのものだという。
丁寧に叩いて成形されたと思われる凹凸が味わいある。
同じく宍粟市在住の陶芸家によるポットは
山口ご夫妻がフォルムを細かくオーダーした特注で
宍粟市内の土を混ぜこんで焼き上げたものだという。
バナナと米粉のケーキをこちらのカトラリーとポットでいただく。
なんとも贅沢なひととき。
宍粟の山奥で、若きアーテイストたちが完成を磨きあう。
繁盛幼稚園跡はクリエイティブな拠点に生まれ変わろうとしている。
2021.10.11
■DATA
サササ
宍粟市一宮町上岸田576 旧繁盛幼稚園
物|事 田疇について (モノ・コト でんちゅう)
宍粟市山崎町上牧谷713
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海に魅せられ、南国の海に通いつめていたダイバーが嫁いだ先は、海のないまち宍粟だった。海の中の生き物に代わって私の心を鷲づかみにしたのは、宍粟の自然と日本の原風景。昆虫や鳥、草花などの小さな生き物たちのたくましさと美しさ、そして四季折々の風景に感動する毎日を過ごす。
東日本大震災を経験した2011年の夏、結婚を機に宍粟に移住。東京都出身、マクロビオティックインストラクター、発酵食スペシャリスト、公文指導者、素麵屋の嫁、二女の母