ワシあと何回コメ作れるやろか〜 こんな話題が会話にあがるのは、日常茶飯事なこと。 耕せなくなっていく農地は、年々増えています。 まずは現状を知りたい!! 今回は、宍粟市農業振興課の皆様にお世話になり、 宍粟市の農地や農業を取り巻く現状ついてお話しをお願いしました。

【前半】宍粟市の農業と、その近況。
<森林王国>と呼ぶほどの宍粟市。農地はその面積の約3.3%(2,230ha)で、圃場整備されている優良農地はその6割(約1,490ha)です。その農地が年間10haほどが耕作放棄地化していっているという、、、。ものすごいスピードで農地が荒れているのがわかります。 東西南北に広く環境も異なる宍粟市では、市の中で2つに分けた農業政策をとっています。 農地面積が広く、比較的温暖で2毛作、3毛作が可能な南部では、生産性を最大限に活かせる農業を推進しています。 一方北部では、北部条件不利地域が多く、年間気温も低いものの、水源から近い清らかな水や寒暖差を生かした農産物づくりをめざしています。2022年にスタートしたJAハリマの特別栽培米「ちくさの舞」もその実績としてご紹介いただきました。 国政では、将来の地域農業の将来像を描く「地域計画」の策定が今年(令和5年)の施行に向けて進められています。これは自治体が旗振り役となって進めていくことになっているそうですが、地域ごとに条件や事情も異なるため、簡単に将来像を地域ごとに描くのはできることではなく、担当者の方はとても苦労されている様子でした。具体的にどう担い手を確保できるか、集積していくのか。地域ごとに考えるとなると一筋縄では難しいことであるのが分かりました。

黒豆や山椒など地域ならではの栽培技術を初め、農機具技術や加工品づくり、視察授業と盛りだくさんなプログラム。しらなかった〜!
【後半】担い手づくり 〜小さな農の可能性は?
後半は、私からちょっと無謀な提案を切り出しました。 宍粟市では、認定農業者34名の方々が日々農地を守り、農業生産を上げておられますが、一方で総農家数(2,647戸)のうち9割が兼業農家(自給的農家も含む)です。そこで思うのが、その多くが高齢者や退職後の方々が占めていると予想されますが、今後その方々が離れてしまったあとでも、専業ではない形で多様な担い手が農地を守っていく可能性が探れないものだろうか。ということでした。 半農半Xや兼業農家などの「小さな農」に可能性はないか? 近年では、若い世代を中心に各地で半農半Xをはじめとして、さまざまな形で農を取り入れた生き方/ナリワイを開拓する人々のことを聞く機会が増えています。すでに宍粟市内でも農をベースにした生き方や働き方を目指す個人やグループを紹介させていただきました。また農福連携に取り組む市内の福祉事業所や神戸市で始まった兼業を目指す農業スクールについても触れさせていただきました。

これについて、同じ方向を目指す参加者の方からは賛同するご意見をいただきましたが、やはり現在の規模の農地を守るためには、それでは追いつかないという指摘や、国政が変わらなければという意見も上がり、熱い議論が展開しました。 ひとえに農地を守ると言っても、産業として/食糧補償として/文化として/国土保全として... 考える切り口はさまざまにあり、求められることが異なりますが、どれも欠けてはいけないことでもあります。 そのバランスをどうとるか、という問題であるのかもしれません。

途中で帰られた方がいなくて残念〜

写真では分かりづらくスミマセン
DATA
日時 | 2022年11月30日(水)14:00-16:00 |
場所 | 染河内もりのようちえん(宍粟市一宮町能倉) |
ゲスト | 宍粟市農業振興課 北本竜二さん(次長兼課長) 茅野雄士さん(副課長兼農政企画係長) 村上公一さん(副課長兼農業振興係長) |
ホスト | 小鹿 由加里 |
本日のお茶 | 藍ブレンドハーブティー(藍ある暮らし) |
参加者 | 7名 |

2017年一宮町繁盛地区に地域おこし協力隊をきっかけに京都からIターン。夫の住む京都と宍粟を往復しつつ、自然派のお米や野菜づくり、市民活動に参画中。昔ながらの慣習や神話が好き。