介護は突然始まる。
今回のぷくぷく宍粟でお話させていただき、印象的だったのは、
介護は突然思ってもみないタイミングでやってくることでした。


私自身、仕事では在宅に関わっていますが、介護経験はありません。

参加者の中には、今まさにご自身の母親のことで、周りから介護保険を受けた方がいいと聞いて参加して下さった方がおられました。またゲストスピーカーでお越しいただいた中村さんから介護の経験の話をお聞きする中で、育児ほど準備ができぬまま介護は始まるものだということを感じました。

淡路島-宍粟を往復した、中村さんの経験談から

今回は初めに、宍粟市内に住むお母様の介護をされた淡路島在住の中村有宏さんに、ご自身が経験した自宅介護についてお話をしていただきました。家で過ごしたいという本人の希望を叶えられたご家族の立場から、どういうところが大変だったかなどのお話を伺いました。介護サービスを使うことでなんとかなるところがあるというお話や、家族にしかできないことは大変だったというお話を聞くことができました。

淡路島から毎日宍粟市まで通って家族の介護にあたるのは、誰でもできることではありませんが、介護を受ける本人にとって、家族がいてくれる安心感は、介護サービスでは補えないかけがえのない時間であったことは間違いないでしょう。一方で、日数を重ねるにつれて介護する側の息子さんにとっては長距離運転の疲労もあっただろうと思いました。

こうしたケースのように、家族の介護力によって提供できる介護の質が左右され、介護する側に対する経済的なフォローがないことが日本の一般的な状況ですが、海外の事例としてたとえばドイツでは、介護保険を使わずに家族が介護した分はお金が国から支給される制度があることを紹介させていただきました。


以下、佐々木淳医師のFacebook記事を抜粋させて頂きます。
日本でもこういった制度ができると助かる人もあるかもしれません。

日本では家族介護は、あくまで家庭内のマター。
しかしドイツでは、家族によるケアも制度でカバーされる。
家族が在宅ケアを担う場合、それに対して現金の給付が行われるのだ。

1週間に2回以上、少なくとも10時間以上、家族の介護に従事すれば、
例えば要介護2だと月額で316ユーロ(4.6万円)、
要介護5だと900ユーロ(13万円)受け取れる。

また介護者には労働保険のカバー、
減税や年金保険料の介護保険からの支払い、
低金利の貸付制度などの補助もある。

佐々木 淳( 医師)

◯×棒で! クイズで学ぶ介護保険

介護保険に関するクイズを10問しました。

意外と知らない制度のことを楽しく知ることができたらと思い、ハロウィン仕様の⭕️❌棒を次男と手作りし、参加者の皆さんにクイズ形式で回答してもらいました😊ケアマネージャーの川端和美さんが分かりやすく回答くださり、知識もすっと入りやすかったかなと感じました。介護入浴サービスに携わる石橋美穂さんからは、介護保険の主役が本人と家族であるといった大切なことを話していただきました。
ちょうど⭕️❌クイズの後に、参加者から「こんなにサービスがバラバラだと分かりにくい!」とのご意見がでて、ケアマネージャーの川端和美さんから介護保険についてお話いただきました。
介護保険自体が導入されると、流れにのって制度は使えるが、市役所等に相談に行くまでの思いが人それぞれあり、必要なのに助けを求められない家族がまだまだあるだろうというお話でした。たしかに家族の問題だからと声をあげられない方もおられるだろうな、、と思います。また、介護だけではなく、年齢を問わず、障害を持つ方や社会的弱者への情報が届きやすい仕組みが必要だという意見もあがり、みんなで考えました。
介護サービスのひとつである、訪問入浴。その現場にあたられる石橋美穂さんよりお話をしていただきました。訪問入浴は、保清目的だけではなく、心もほぐれて笑顔がみられたことなどをお聞きしました。ここでも本人や家族が主体であることの大切さも熱弁してくださいました。
私(森蔭)自身は、訪問看護についてお話しました。訪問看護師の数は、看護師全体のわずか数%にすぎません。病院勤務では時間に余裕がなくて出来なかった、患者さんへの精神的ケアや個別ケアを一緒に考えながら、住み慣れた家で看護できることが魅力だと感じています。また、訪問看護は看護だけではなく、リハビリも行なっています。

立ち上がりにくい人がコツをみつけたり、バランス、筋力をつけて、立ち上がれるようになったり、しゃべりやすくなったりすることを助ける理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問していることもお話しました。  
また、学校に通う子どものサポートを行う学校看護師はさらに少なく、現在は宍粟市内の波賀町で配置されています。その学校看護師の森蔭すみよさんが、今回のために資料を作成くださり配布することができました。今後も医療的ケア児は増えることが分かっており、対応するためには学校看護師が必要だということもお伝えしました。
最後には、カードゲーム「もしバナカード」を使って、カードマイスター資格をもつ石橋さんリードの下、余命が少なくなった時にそれぞれが大切にすることをシェアしました。

会を終えて

さまざまな角度で介護に携わる当事者のお話を交えることができましたが、まだだ日常的にこうした話題が出しやすい場も少なく、また情報も不足していることを感じました。今回のような機会が積み重なっていく中で、介護をする側もされる側もより良い状況を探っていけると良いですね。

おまけ

兵庫県内の介護サービスをまとめた検索サイトがありました。ご活用ください。
兵庫県 介護事業所・生活関連検索

DATA

日時2022年9月24日(土)14:00-16:00
場所染河内もりのようちえん(兵庫県宍粟市一宮町能倉864)
ゲスト川端和美さん(ケアマネージャー/NPO法人さつき
中村有宏さん
石橋美穂さん(保健師看護師、在宅介護センターたつの
ホスト森蔭都(コスモス訪問看護ステーション管理者)
本日のお茶藍ブレンドハーブティー(藍ある暮らし)・たんぽぽコーヒー(Cafe&Barかしのみ
参加者7名