伝統構法 石場建てで建てた家
宍粟市一宮町安積にあるトロワプロジェクト株式会社 代表小川芳治さんにお話を伺いました。
伝統構法である石場建てで建てられた家は「木」と「土」のみでできており、全て最後は土に還る自然にも人間の身体にも優しい健康的な建物です。
伝統構法の要素は「築」の字そのもの

「竹」「土」「瓦」「木」と四つの漢字にわけると全て伝統構法で使用する材料になります。

小川さんは、全て地域のものを使い、「地域内で自立」させることを目標にされています。

郷土を生かした先人たちの知恵と知識

石場建てとは、伝統構法のひとつで、柱の根元をボルトで固定せずに石の上に柱を乗せる構法です。

それにより、地震がおきても揺れが分散され建物へのダメージを最小限にすることができます。

また伝統構法には鉄製の釘は使わずに木製の栓を使うことでしっかりと固定させたり、簡単には外せない組み木の技術が施されています。

日本は昔から地震が多かったため、郷土の特徴を生かした先人たちの知恵や知識が伝統構法の建物に随所に垣間見ることができます。

発酵する家

在来構法の三倍の量の木材を使用する伝統構法。

丸太を買ったり、自ら伐採した後は、天日干しで一年間は乾燥させなくてはいけません。

さらに土壁となる発酵土も手づくりです!

トロワプロジェクトでは施工主さんと一緒につくるそうですよ。

藁についた納豆菌のチカラでつくる発酵土によって室内環境は腐りにくく、空気が浄化される効果があるそうです。


実際に「セメントと土」と「藁と土の発酵土」の二つと新鮮なみかんをそれぞれ各瓶に入れ実験したものを見せていただきました。

2015年からのものですが、完全に腐敗した真っ黒のみかんが入った「セメントと土」とまだオレンジ色のみかんが入った「発酵土」。

違いは一目瞭然です。
左からヒノキ、新建材、新建材+柿渋、スギ
「木」の驚く効果

さらに小川さんはこんな実験も見せてくださいました。
(上の写真 2018年実験スタート)

瓶に各材料と食パンを入れた実験です。


・新建材··· 5日でカビが生える。

・新建材+ 柿渋··· 柿渋がホルムアルデヒトを吸収したため10日もつ。

・スギ材··· 3年半経つも、現在もカビなし。

・ヒノキ材··· スギ材と同様。


この実験により、いかに「木」の持つチカラが素晴らしいかが明らかになりました。

「木」はあたたかく、殺菌力、リラックス効果があり室内の湿度を保つ調湿性もあります。

木材をふんだんに使用したお家を建てたくなりますね!
「火」のある暮らし

トロワプロジェクトでは建築の他に、薪ストーブの販売もされています。

薪ストーブは土壁との相性が良く、薪ストーブであたためられることにより、より発酵環境が進み、そこに住むことで自分自身の身体も健康的になっていきます。

実際に花粉症気味だった小川さんは住みはじめてから改善されたといいます。

お風呂も薪ボイラー。電気と「火」では質が全然違うそうで、ひどかったあかぎれも治ったそうです。


小川さんの元で働く大工さんの奥さんでライターさんのにちこれにちこさんが、薪ストーブで焼いた手づくりピザを用意してくださいました。

季節の食材たっぷりのピザ、オーブンで焼くのとは違ってより香ばしくカリッと、チーズはとろーっとしていて、とても美味しかったです。
住まいと健康

自然に還る素材で建てた伝統構法の建物に住むことで、免疫力も高まり、そして日々楽しみながら暮らしを営むことができるのだと、住み始めて健康的に考えるようになったと、生き生きと話しをされる小川さんを見てそう感じました。


日本は今、「我利我利の社会」に舵をきっています。

幸せとは何か、それを建築を通して伝えていきたいと小川さんはおっしゃいます。
会の最後に鉋削りを体験させて頂きました!

大工の西川さんに教えてもらいながらではあるものの、切れずに削るのはとても難しかったです。

薄さ◯◯ミクロンの世界、削った後に木材に水を垂らすと水滴が浮いてみえます。

さわり心地もすべすべでずっと触っていたくなりました。

とても貴重な経験をさせて頂きました。
小川さん、西川さんご夫婦、素敵な1日を用意してくださりありがとうございました!
Akari ko


Data

日時2022年4月24日(日)12:30-15:30
場所トロワプロジェクト株式会社(旧小川建築)
ゲスト小川芳治さん(トロワプロジェクト株式会社)
ホスト坂口あかり(Sadoya)
本日のお茶サササの漢方茶
参加者大人10名 子ども6名